2018年2月28日 ヤフー株が急落、米アルタバの売却表明で

現金化へ「唯一のオプション」、ヤフーの対応「決定していない」
市場は自社株買いに関心、分配可能額は約9600億円-ゴールドマン

米アルタバは27日(米国時間)、同国の税制改正を踏まえ、保有するヤフーの株式を4月以降に売却する方針を示した。これを受け28日の東京市場ではヤフー株が急落。多額の剰余金を持つヤフーがどう動くかに関心が集まっている。

  電話会議の内容を記載した資料によると、アルタバのトーマス・マキナニー最高経営責任者(CEO)は、ヤフー株を現金化する方針を示した上で、「われわれにとって直ちに利用可能な唯一のオプション」とし、税制改正の影響を鑑みて4-6月に市場での売却開始を見込んでいると話した。

アルタバのマキナニーCEOPhotograph: Victor J. Blue/Bloomberg
  ヤフーIR担当の山口陽平氏はブルームバーグの取材に対し、自社株買いを含め、あらゆる選択肢を検討しているが、現時点では何も決定していないと述べた。アルタバ幹部と協議を深めながら決定するとしている。

  28日のヤフー株は一時前日比9.6%安の483円と2017年4月下旬以来、約10カ月ぶりの日中下落率を記録した。終値は7.1%安の496円。売買代金は東証1部市場で第7位の約318億円に膨らんだ。ヤフーの大株主はソフトバンクグループの43%に次いでアルタバが35.56%など。

  みず証券の岩佐慎介シニアアナリストは28日付のリポートで、アルタバのマキナニーCEOの発言について、市場売却の体制を整え、ヤフー株をできるだけまとめて売却したいものの、現時点では有効な手段が見えていないと解釈されると述べた。
  ゴールドマン・サックスの杉山賢アナリストらは同日のリポートで、ヤフーは決算説明などでアルタバによる株式売却に対してさまざまな選択肢を用意すると表明していることを紹介。ヤフーが自己株式を取得する際に上限となる分配可能額はおおむね利益剰余金と同じ約9600億円と指摘した。時価総額は約2兆8700億円。
 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-28/P4UAO86JTSE801

ヤフー—3日ぶり大幅反落、追加投資など背景に今期大幅減益見通し

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3日ぶり大幅反落。先週末に18年3月期決算を発表している。営業利益は1858億円で前期比3.2%減となり、1930億円程度だった市場予想を下回って着地した。また、19年3月期は1300億-1400億円と、同25%-30%程度の減益になる見通しが示された。市場予想は2000億円超の水準。新規事業に対する追加投資などがかさむもよう。アルタバ保有株売却に対する対応策なども不透明ななか、収益水準の低迷をネガティブ視する動きが優勢。
(フィスコ)

http://diamond.jp/articles/-/169069

ヤフー川辺次期社長「スマホ決済、今夏にも実店舗で」

2018/3/14 2:00 日本経済新聞 電子版
 
 6月にヤフー社長に就任する川辺健太郎副社長執行役員兼最高執行責任者(COO)は13日、日本経済新聞の取材に応じ、提供中のサービスを順次統合する考えを示した。スマートフォン(スマホ)決済を小売大手と組んで今夏をめどに実店舗に導入する計画も明らかにした。サービスの強化で競合する米アマゾン・ドット・コムや楽天などに対抗する。

 ヤフーは現在約100のサービスを手掛けているが、これまで利用者の閲覧データを横断的に分析できていなかった。川辺氏はポータル(玄関)となるアプリに機能を集約し「ユーザー体験やデータ利活用の観点で高度に連携させる」方針を示した。利用者がヤフーの複数のサービスを使うようになれば、検索履歴を元に適切な商品の購入を提案するといったサービスが現在より高い精度で実現できる。

 個人に最適化した商品やニュース記事を表示できるため、利用者の訪問頻度や滞在時間、記事や広告のクリック率が高まる効果がある。ネット広告を手掛けるヤフーの場合、クリック率をはじめとする指標が底上げされ収益につながる。「新規事業などは投機的になる。(クリック率などの向上は)継続的に着実に効果が出る」(川辺氏)

 提供する決済サービスの導入箇所を増やす計画も示した。ヤフーのスマホ決済のサービスを18年夏をめどに実店舗のPOS(販売時点情報管理)システムと連携させ、大手流通でも使えるようにする。年内には個人が経営するような小さい小売店や飲食店にも広げる考えだ。

 アプリや紙に印刷した「QRコード」やバーコードを読み取ることで決済ができ、税金の支払いでも導入することを検討する。

 ヤフーと顧客企業のデータを組み合わせて事業に関する知見を得る「データフォレスト」と呼ぶ取り組みについて川辺氏は「新体制を通じて大きくする事業の種」と述べ、将来的に既存事業と並ぶ規模に育てる考えを示した。これまでは広告を通じ、企業のマーケティングを支援していたが「研究開発や意思決定にも関わる」。

 電子商取引(EC)では楽天を上回り国内で取扱高1位になる考えを示した。ネット通販の購入時にポイントを付与する会員向けの特典を継続する。川辺氏は「将来(日本の消費に占めるECの割合が)2割を超えたときにナンバー1でいることが最終目標」と語った。勢力を拡大する米アマゾン・ドット・コムに対しては「リアルの小売りとどう組むかは、考える必要があるテーマだ」と述べた。

 大株主の米アルタバ(旧・米ヤフー)は今月、保有するヤフー株を売却する意向を発表した。川辺氏は「事業価値を最大化するためにあらゆる手段をとりたい」と述べるにとどめ、具体的な方針は明らかにしなかった。